--vol.2--家に帰ると親戚の人が沢山来ていた。高次おじさんに由希おばさん、鎌倉のじいちゃんに、仙台のばあちゃん。 ほとんどみんな泣いている。 「な・・んで・・・」 あたしが来たのに気づいた高次おじさんが、あたしのとこに来た。 「春香・・・お前の父さん達が空港に行く途中トラックにぶつかって亡くなったんだ・・・」 抱えてたカバンを落とした。 「・・・うそでしょ?高次おじさん・・・」 「・・・ほんとなんだ・・・」 今の状況はまるで夢みたいだ。 周りが全部ぼんやりしてて、声はこだましていた。 「・・・朝お母さんと喋ったよ?お姉ちゃんもご飯食べてたし・・・お父さんだって服着替えてた・・・」 「・・・」 高次おじさんはそれ以上何も言わなかった。 あたしはその場に崩れ落ちて泣いた。 他の人達があたしを慰めていたが意味が無かった。 その数日間の記憶があまりない。 葬式をしたりその準備でばたばたしていた。 あたしは何もする気になれなかった。 まだ現実感が無い。 信じられない。 ・・・でも朝お母さんは起こしにこない。 リビングには誰もいない。 お膳の上に料理は並んでいないし、電気もついていない。 玄関には靴があたしの分しか並んでいない。 もうろうとした意識の中、ご飯を作って食べる。 「まず・・・」 こんなことになるんだったらお母さんの手伝いを沢山して料理を教えてもらっとけばよかった・・・ お父さんともっと外へ遊びに行って、お姉ちゃんとはもっと一緒ショッピングに いって恋の話とか沢山しとくんだった・・・ 涙が溢れてくる。 なんで・・・ なんであたしだけがこんな苦しい思いしなきゃいけないの? ピンポーン 玄関のチャイムが鳴った。 由希おばさんだろうか・・・ 「誰・・・?」 ガチャッ ドアをあけた。 そこには男2人が立っていた。 「・・・・誰ですか?」 2人とも怖そうだ。 「お前青葉のじょうちゃんか?」 「・・はい・・・両親にお話があるんでしたら残念ながら亡くなったんで・・」 「んなこたぁ知ってるよ。借金はどうなるのかって聞きに来たんだよ。 見たところじょうちゃん一人しか残った人いないみたいだし。」 「・・・借金?両親に借金なんてありませんよ?」 「それがなぁお前の親父が3000万借金してるんだよなぁ~。会社経営に使うとかで。」 「・・・ほんとですか?」 「ほんとだよぉ。どうしてくれんの?この家売ったら5、6百万くらいになるんじゃない?」 男はあたしに近づいてきた。 あたしは少し後ずさりした。 お父さんに借金があったなんて・・・ 知らなかった・・ きっとあたし達に心配かけないように黙って一人で抱えてたんだ・・・ 「・・・家は売れません!あたしが全額返しますから!!」 「じょうちゃん無理すんなや。中坊が稼いで返せる額じゃないぜ。」 「いいえ。絶対あたしが一人で返してみせます!!」 「んじゃぁ期待してまってるからな。」 男はあざ笑うかのように笑って帰って行った。 --続く-- |